(生き方)うしおととら 座敷童と白い髪の女から学ぶ
うしおととらについて
うしおととらは、週刊少年サンデーで1990年から1996年にかけて連載した作者(ふじたかずひろ)の代表作品です。名作として名高く1992年と2015年にアニメ作品が作られています。
その名作の一部から、私が人生の糧として学びとったことなどを中心に解説します。
まだ作品を読んだことがない人がいたなら、ぜひとも触れてみてほしい名作です。33巻あるコミックスが最高ですが、今はNetflixやAmazonプライムビデオなどでもアニメ作品は観ることができるようですので、そちらもおすすめです。
あらすじ
主人公の少年は「蒼月潮(あおつきうしお)」。
寺の息子、うしおは中学生。ある日、寺の蔵で槍に刺され封じられている妖怪「とら」と出会う。その槍は「獣の槍」と呼ばれ妖怪を封じる力を持つ。うしおは多くの妖怪と関わり、成長していく。
そんな中、父から「死んだ」と聞かされていた母が生きていることを妖怪の口から聞き。父「紫暮(しぐれ)」を問いただした。
父、紫暮は「母ちゃんのことを知りたければ、旅をしなくてはならない」と、うしおととらを旅に送り出す。
うしおはそこで、様々な妖怪や人間と関わりながら大きなストーリーが進んでいきます。
座敷童と白い髪の女から学ぶ
(該当する話)
うしおととら(2015)シーズン1:エピソード10
「童のいる家」
大地主の鷹取(たかとり)家の娘、鷹取小夜(さや)は白い髪の病弱な少女。何かあればすぐに「ごめんなさい」を口にする気弱な性格です。
外出中に倒れそうになった小夜を偶然にも救ったうしおは、鷹取家でオマモリサマと呼ばれる童の妖怪「座敷わらし」と出会う。
小夜(さや)は、うしおに説明します。
「それが棲みつくところ、富があり権勢あり
それ去る家、災いと貧困が訪れる。」
「昔ね。力ある神様を閉じ込めることに成功した家があったの。その力ある神がオマモリサマ。それをお慰めするのが私、白い髪の女。でも、オマモリサマの本当の名前は、座敷わらし様」
白い髪の女は、代々オマモリサマを慰め、閉じ込めておくために、道具として家に入れられていることを知るうしお。
このあと、うしおは、200年もの間、オマモリサマを閉じ込めている結界を壊すようふたりから依頼されます。
しかし、いざ結界の前まで来ると、強力な妖怪とらでさえ、「首の毛がちりちりする」ほど強力な結界だった。
とらはこう言います。
「この結界を壊したらどうなるのか知ってんのか?外にある大量の気が大波のように押し寄せて、お前なんざ、消しとんじまうぜ・・・」
それを聞いてオマモリサマは、こう切り返します。
「仕方あるまい」
すかさず小夜は、
「嫌!そんなこと、聞いていませんっ、オマモリサマが死ぬなんて」
「いいのだ、やさしい小夜。200年おらは、何人もの白い髪の女たちに慰められ、それらが死んでゆくのをみてきた。お主の母もな・・・。」
「もう、いいのだ。もうおらのために閉じ込められ、ただ死んでゆくのはみたくない」
オマモリサマと小夜の絆
オマモリサマは、たとえ自分が死んでしまっても白い髪の女たちを自由にしたいと考え、小夜は自分が自由になることよりも、白い髪の女たちの生きた証である「オマモリサマ」に生きてほしいと考えます。
二人とも自分よりも、相手を思う気持ちがやさしすぎて切ないです。
その場に血相を変えて飛び込んできた鷹取家当主は、うしおを力づくで止めようとします。しかし、槍を使いこなすうしおにはかないません。
うしおは、オマモリサマの言うとおり結界を破壊するため、槍を構えると、そこには小夜が立ちはだかります。
結界が壊れるとオマモリサマが死ぬ。
それがわかった以上、小夜は結界を壊すことができません。
とらの助力とうしおの判断力
蒼月家の蔵に500年の間、封じられていた「とら」はオマモリサマの結界に半身を突っ込み、結界が破壊された衝撃からオマモリサマを守るから、結界を壊すように、うしおに呼びかけます。
「うしお。早くやれ!コイツはオレが守ってやらぁ」
うしおはすかさず
「俺じゃない、決めるのは小夜さんだ」
と切り返す。
即座にこの判断はすごい。
うしおが行動するのは、小夜とオマモリサマふたりから依頼を受けたからです。しかし、いま小夜は迷っている。だから、小夜に「判断」を促すのです。どちらを選ぶべきなのかなんて、もう決まっています。だけど、おそらく、うしおは小夜に自分で決断することで彼女自身に変わってほしいと考えたのでしょう。
戸惑う小夜。
そこに、鷹取家当主と祖母は高圧的に言い放ちます。
「お前のような(病弱な)やつが、この家がなくなって生きていけると思っているのか」
「どくんじゃないよ、オマモリサマをここに封じ込めるのがお前のの役目ぞ!母もそうしたのだ」
・・・そこで小夜は母の言葉を思い出します。
「妖怪と人間を橋渡しして、仲良くさせるのが私たちに役目・・・」
オマモリサマも小夜に尋ねます
「さっき言ったな。この私が白い髪の女たちの生きた証だと。だが、それでいいのか?おまえの人生もそれでいいのか」
小夜は迷った末、選びます。
「オマモリサマは選んだのね。わたしも決めなくちゃ。」
「お父様、お婆さま、鷹取家は十分栄えたわ。もう自由にしてあげましょう。」
そして
「蒼月くん。切って」
うしおのひと振りによって、結界は破壊され、座敷童と小夜は自由になります。
別れの場面で、小夜はうしおにこう言います。
「私もね、私も蒼月くんみたいに、強く、なるね」
うしおは、小夜をためすためにセクハラまがいの発言をします。
小夜は、つい「ごめんなさい」が口から出そうになったけど、うしおが自分を試していることに気がついて、そのやさしさがうれしくて、別れるのがかなしくて、複雑な涙を浮かべながらも、うしおにむかって「バカね!」と切り返します。
判断すること
人は迷ったり、悩んだりします。
大抵は、これから先、どうすればよいかを悩みます。
でも多くの人は判断できません。実はしないことで、楽をしているのです。
例えば、
仕事に悩んでいる。辞めて新しい環境に身をおきたいと考えている。けれど、辞めて、本当に生活することができるのか。新しい就職先は見つかるのかという不安から、決断できず、会社の愚痴をこぼしているサラリーマン。
大好きなあの子に告白したい。けれど、断られて今の関係が崩れてしまうことが怖くて、告白することができない人。
判断の先には、何が起こるかわからない
判断したその先は、何が起こるのかわからない部分が必ず存在します。
今回の小夜という少女は、オマモリサマを閉じ込めている今の状態に罪悪感があった。けれど、これを壊す手段がないことで、環境を甘んじて受け入れるしかなかった。
しかし、そこに獣の槍を持って現れたうしおたちの存在。
判断を迫られます。
オマモリサマが不自由な今の状態は間違っている。
オマモリサマを自由にすることは、
ひどい仕打ちを受けているとはいえ、鷹取家を潰し家族を困らせること。そして、小夜自身の生活もどうなるかわからない。
どちらを選んでも、失うものがある。
でも、どちらを選べば良いかは、小夜の心の中にしっかりとあったと言うことです。
その背中を優しく押したのがうしおという少年。
めちゃくちゃやさしいですよね。
実は心の中に答えはある
誰しも、いろいろな悩みや迷いをもっています。けれど、判断するということには様々なリスクを伴います。だからこそ慎重に選ばなくちゃならないし、判断しきれず思考停止に陥ることもしばしば。
だけど、ずっとそのままじゃ、
いつまでも前に進めないよって話です。
心の中にある、悩みを解決する答え、
その先に進むかどうかは、判断できるかどうかで決まるようです。
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